第13章 お館様
食べ終わると、桜はまだにやにやとする槇寿郎を悔しそうに見てから部屋を出た。
台所へ向かうと食器を扱う音が聞こえる。
杏寿郎が庭で鍛錬している声を確認してから桜も小走りで台所へ急いだ。
「千寿郎くん!また朝餉の用意手伝わなくて本当にごめんね!!」
お膳を置くと千寿郎の顔をみる。
千「いえ!これから桜さんは大変な仕事をすることになるんです。命がかかった…。むしろ、こちらを手伝うより体を丈夫にしていただいたほうが僕は安心できます…。」
千寿郎は眉尻を下げてとても心配そうな目をした。
(いつも自信なさそうにしているけど、こういう時の綺麗で真っ直ぐな目は杏寿郎さんと同じだな…。)
そう思いながら桜は千寿郎を抱き寄せ、
「ありがとう。」
と嬉しそうに呟いた。
その時、
杏「桜ッ!!!!!!」
杏寿郎の大きな声が聞こえ、千寿郎は軽い音と共に目の前に現れたふわふわの白い毛に目を丸くした。
桜は慌てて庭へ走る。