第12章 それぞれの想い
槇「俺は弱い。大したものになれないと決まっていた事を知って、受け止められず剣を置いた、逃げた。…息子達から聞いたのではないのか。」
「…そういえば特に聞いてませんでした。でも代々炎柱をやっているとは聞いていたので鬼殺隊にいたんだろうなって…。」
それを聞くと槇寿郎は少し複雑そうな顔をした。
槇「…お前、なんだかんだ言って不安なんじゃないか。やめればいい。」
「それが――…もう親方様に昨日鴉を飛ばしちゃったんですよねえ。」
へらっとした笑みを浮かべる桜。
槇寿郎は説得しようとしていた自分が馬鹿馬鹿しくなり眉を顰めながら箸を進めた。
――――――
「お体の調子、悪くなったらまた診ますけど、お酒はなるべく私との晩酌まで取っておいてくださいよ?」
槇「……ああ。高い酒も用意してくれるらしいしな。」
途端にビクーンッと跳ねる桜の体。
(なんであんな事言っちゃったんだろう…っ!お金もないし、この敷地から出る姿だってない…!!)
その露骨に慌てた桜を見て、槇寿郎はにやにやと意地が悪い笑い方をする。
槇「今晩が楽しみだな。」