第66章 拗れる
2年前は外で飲みもしないと言っていた桜が夜のカウンター席で男とサシ飲みをしている。
そのギャップに付いていけず、杏寿郎は天元に背中を押されて座敷へ向かった。
杏「宇髄……俺の見間違いだろうか…。桜がグレてしまったように見えたのだが……。」
天「いや、何歳だよ。普通だろあんなん。」
杏「だが…、宇髄、あの男なんだ。桜の初恋の男は…あの男だ。」
天「あーーー……。」
天元は拗れ具合いに遠い目をした。
一方、桜はその店で杏寿郎を見ると初めて噂を聞いた時の事を思い出してしまい 初めて酒に手を出してしまった。
ろくに腹に物を入れられてない状態で酒を飲むと桜の酔いは早く回った。
優「一ノ瀬さん?大丈夫…?」
「うん。」
酔っ払いの『大丈夫』ほど大丈夫でないものはない。
桜は30分と経たないうちに潰れ、涙を溢し始めた。
それを見てぎょっとした優介は勘定を済ませると家へ送り届ける為に桜を支えながら立ちあがろうとした。