第66章 拗れる
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その夜は歓迎会は開かれず、桜はすっかり友人関係となっていた優介に呼び出されて心配されていた杏寿郎とのエンカウントについて話すことになっていた。
そしてそれは例の定食屋である。
2人はカウンター席で乾杯をした。
桜は自身でルールを決めており、相手が優介であろうと2人きりの時は決してお酒を飲まなかった。
優「どうだった?」
「…………一言しか話さなかったんだけど……、でも、それなのに目が合っただけで…やっぱり……、」
優「……………そっか。」
「2年も経ったのに…どうしたらいいのかなあ……。私、やっぱりおかしいくらい好きなんだと思う。やめなきゃって思ってるのに…どうしても忘れられないの…。」
優介はどんなに近くで寄り添っても杏寿郎と桜の間に全く入れそうにない事を痛感した。
優「………………………………そっか……。」
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そして塾講師をやっていた時とは違う時間帯、2人が静かに話しているとそれまで鉢合わせした事がなかった人ととうとう鉢合わせてしまった。
天「おじゃましまー…………、」
杏「宇髄!!入り口で止まらないでくれ!!!」
その声に桜と優介は固まる。
そして気まずそうに入ってくる天元の後ろで杏寿郎は目を見開いた。