第65章 流れる月日と二度目の再会
行「一ノ瀬先生、そろそろ話をしよう。」
「はい!」
行冥が声を掛けると2人とも自分の机に戻ってそれぞれの支度を始める。
(まとめ役の方なのかな。なんだか落ち着く……。)
行「一ノ瀬先生の指導については特別に理事長に頼まれたのだ。」
「理事長さんに…!でも何となくなぜだか分かります。側にいるととっても落ち着くので…。」
そう言うと桜はやっと笑顔を見せた。
行冥は柔らかくなった雰囲気に泣きながら微笑む。
桜はその涙に戸惑わず、ただ嬉しそうにしていた。
天「あれに突っ込まないのを見ると結構覚えてるっぽいんだけどな。」
小「わざと杏寿郎を見ないようにしていたな。無事再会したと言っていたのにどういう事だ。」
天「あーー………。」
天元は杏寿郎がひた隠しにしていた事を勝手に話せず天井を見上げる。
小芭内はそれを見て大体を察し溜息をついた。
―――
『続いて、高等学部の新しい先生方です。』
全校集会にて桜を含めた数名の新任教師が緊張したように背筋を伸ばす。
生徒は新しい顔ぶれにざわついていたが、桜が壇上に上がった途端に異様なほどのどよめきが起こった。
すると凄い形相の実弥が壇上にズカズカと登ってきてマイクを取り上げる。