第65章 流れる月日と二度目の再会
杏「……それは俺からの物ではない。」
天「………………いや、いやいや。若すぎる、ただの………恋人からのだろ。普通職場では結婚指輪以外は外すもんだぜ、一ノ瀬先生。」
「あの…、ごめんなさい。これについては理事長さんから許可を頂いてて……、それにこれは恋人からのじゃなくて……その、婚約指輪で…相手は、」
―――バンッッ
聞きたくない気持ちから杏寿郎は日誌を勢い良く机に出すとハッと我に返った。
杏「すまない!!力んでしまった!!俺は………やる事があるので失礼する! "一ノ瀬先生" 、これからよろしく頼む!!!」
「はい……煉獄、先生…。」
杏寿郎が出て行ったのを確認すると天元は桜の肩を掴んで強く揺さぶった。
天「おい、どこの誰だよ!どうして受け取ってんの!!あいつここ2年もポンコツになってんだぞ!2年も!!」
実「あんまり乱暴にすんじゃねェ!!お前痩せたな、ちゃんと食ってんのかァ…?」
「…こ、これは……みの…、弟から貰ったものです。付けてないと嫌な噂がぐるぐる回って体調壊しちゃって……。」
天「…なんだよ…それじゃあいつ出て行かなくてよかったじゃねぇか。」
実「噂と指輪ねェ…。トラウマになってんのかァ。」
「……え…………?」
恐らく自身の事なのに分からない事が多すぎて桜は只々戸惑ってしまった。