第65章 流れる月日と二度目の再会
(もう2年も前。それに数日だけ会った人。お互い水に流して新しい関係を築けるかもしれない…。ううん、もしかしたらもう一度…、)
あ「失礼します。」
あまねの声で職員室に着いてしまった事を知り、最後尾で人知れず桜の心臓が大きく跳ねた。
思い切って足を踏み入れると何人かの視線が異常に痛い。
(き、気のせいだよね……。)
そう思いながらも桜は一番先に突き刺さった視線の主に気が付き酷く動揺していた。
あ「今日から同じくここで指導をしてもらう先生方です。」
燃える視線のせいで同期の自己紹介が頭に入ってこない。
気が付くとあまねに声を掛けられていた。
「は、はいっ!」
桜はピッと姿勢を正す。
「中学まではこちらで学ばさせて頂いていました。一ノ瀬 桜と申します。担当は物理です、よろしくお願いします…!」
桜は一息で言い終えると深々と頭を下げた。
しかし拍手の音が異常に少ない。
恐る恐る顔を上げると目の前に白髪の人相の悪い男が立っていた。
桜は思わず後退る。
実「その反応、まじで覚えてねェのか。」
「…………え……?」
桜は久しぶりに記憶について指摘されると杏寿郎が前に自身を知る同僚が居ると言っていた事を思い出した。