第65章 流れる月日と二度目の再会
―――
紅「桜ちゃん…、本当に大丈夫?また痩せたんじゃ……、」
「あ、うん……、ちょっとダイエットー…かな。」
心配する紅葉に桜は微笑んだ。
しかし明らかに顔色も悪い。
その調子が続けば周りの友人は当然気が気ではなくなる。
それは勿論早苗も例外ではなかった。
だが、杏寿郎の話をパタリとしなくなった時期が同じであった為 その所為なのだろうとは察しがついていた。
桜は塾の飲み会にしばしば参加するようになっており、早苗は優介と上手く行けば体調が落ち着くかもしれないと思って送りを任せることも増えていた。
しかし、例の店では "煉獄先生とカナエ先生の噂" が減らない。
桜は心削られながらも気になってしまい、飲み会に参加しては聞き耳を立てていた。
その日も『学校で2人が話していた』『煉獄先生の表情がいつもと違った』などの噂話を聞き、左手の薬指を何度もスリッと撫でた。
(ここ…薬指………無いと不安だ。何か付けてたっけ…?そうだ、もしかして…、)
桜は指輪に関する唯一の心当たりを頼りに休みの日を迎えるとすぐに実家へと向かった。
由梨と勇之は桜が痩せてしまった事に酷く驚いた。
そしていつまで経っても連れてこない杏寿郎についても聞いてきたが桜は何も答えず、弟のみのるが昔プロポーズの練習で自身に渡してくれていた指輪を貸してくれないかと相談した。