第65章 流れる月日と二度目の再会
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天「………………………は?」
杏「何度も言わせないでくれ!!これ以上ないという程ハッキリと振られた!!!もう会いたくもないそうだ!!!」
杏寿郎がそれを天元に打ち明けられたのは初夏になってからだった。
それまでは誰に何と質問されても話題を変えて悉く桜の話題を避けてきたのだ。
天「………………何でだよ。」
杏「恐らく初恋の男と上手くいったのだと思う!!」
天「……それでいーのかよ。お前はさ。」
杏「……良い訳がないだろう。だが自身の為を思うのなら会わないでくれと頼まれた。メッセージも電話も…連絡手段は絶たれた。」
杏寿郎が笑みを消してそう言うと天元は暫く眉を寄せてその顔を見つめた後 大きな溜息をついた。
天「俺はあいつが他の男を選ぶとは思えねぇけど。なんか拗れてんじゃないの?って言っても確かめる術がないのか。」
杏「………………もういっそ攫ってしまおうか。」
笑みを忘れている杏寿郎がそう言うと天元は少しぎょっとした顔になる。
それにすぐ気が付くと杏寿郎はいつもの笑みを浮かべた。
杏「すまない!面白くない冗談を言ったな!!ではそろそろ失礼する!!!」
天「………………はぁ……。」
美術準備室に2度目の大きな溜息が響いた。