第64章 消えない不安と拒絶
(慣れたような接し方も、キスも、……言葉も、私だけのものじゃなかった。私は何番目なんだろう。カナエ先生には勝ててるのかな……。)
―――ピロンッ
ポケットに入ったスマホが鳴る。
優介からだった。
優『具合い悪くなったって言えば抜けられるから辛ければ帰ろう。皆なんだかんだ優しいからそう言えば止めたりはしないよ。』
桜はその言葉にまた涙を流すと『ごめんなさい、そうするね。』と返した。
そして、この最悪のタイミングでもう一つの音が鳴る。
―――ピロリロリンッ
桜は手に持ったままのスマホを泣きながら見つめた。
杏『今度の週末こそ君に会いたい。』
(私も会いたいです。会いたかったです……でも…、でも、もう聞いてしまいました……。)
―――
杏「……………………何で、」
目を大きく開いた先の画面、桜のメッセージ画面には『もう会いたくありません。私の為を思うのなら会いに来ないでください。』と書いてあった。
急いでメッセージを送ろうとするも届かない。
電話をしても繋がらない。
会っていれば自然と結ばれると思っていた。
一度固く結ばれた縁はまた2人を元に戻してくれると思っていた。