第64章 消えない不安と拒絶
「杏寿郎さん……?」
桜が心配して杏寿郎の頬に両手を伸ばす。
杏(そんな事をしては…駄目だろう。まるでそれでは…、)
杏寿郎は目を開ける。
桜の仕草はキスをねだっているように見えた。
杏「……すまない。」
杏寿郎は低く短く言うと桜の後頭部に手を差し入れて優しく甘いキスを繰り返し何度も何度ももどかしく思いながら唇を重ね始めた。
一方、桜は杏寿郎の様子を心配したところ急にキスをされたように感じていた。
(な、なんで…お付き合いしてないのに、また……、挨拶じゃない。こんな、何度も長く…するはずない。)
暫くしてから杏寿郎は顔を離し、すぐに自身の胸に桜の顔を埋めさせる。
杏寿郎はただただ辛そうな顔をしていた。
しかし桜は余裕のある杏寿郎しか知らない。