第64章 消えない不安と拒絶
杏(そういえば桜はセックスを子を作りたい時だけにするものだと考えていたな。)
杏寿郎は困ったように桜の頭をただ撫でてベッドには上がらず、桜が乗ったままのベッドの下に手を差し入れるとグッと持ち上げ、位置をずらしてから下ろした。
「ええっ!!す、すごい…!アトラクションみたいでした!!」
桜はそうはしゃぎながら顕になった床にぽんっと降りるとスマホを救出する。
杏「もう一度乗ってくれ。」
杏寿郎は微笑ましそうにそう言うと桜が乗ったのを確認してから再び持ち上げ少しゆらゆらと揺らしてから元に戻した。
すると桜は幼い子どものように楽しそうに笑った。
「杏寿郎さんの体はすごいですね!私はベッドを1人で動かそうなんて考えもしなかったです!」
杏「君の代わりに俺がするので問題ない。いつでも頼ってくれ。」
杏寿郎はそう言うと何となく離れでの距離の近い生活を思い出してしまった。
杏(本当なら…毎夜抱いて、同じ屋根の下で……、)
そう思いながら杏寿郎は桜の頭を優しく撫でる。
桜は少し身を強張らせて赤くなるも其処がどういった事をする場所か知らずにベッドに座り続けた。
杏寿郎は片膝をベッドについてみた。
それでも桜の反応は変わらない。
杏寿郎は記憶と目の前の光景が混ざると押し倒したい欲が芽生えてしまいそうになり、ぎゅっと目を瞑った。