第64章 消えない不安と拒絶
義「煉獄、お前の事も分からないのか。」
杏「ああ、名前を尋ねられた。」
小「………………………………。」
実「……俺は駒校でカナエに会った時だ。」
カ「私もそうよ。」
小「俺は定食屋で甘露寺に出会った時だ。」
天「俺は……元嫁に…、」
天元は大事な人と出会った時といった共通点がある事に気が付くと気まずそうに答えた。
しかし、だからこそ義勇に期待の視線が集まる。
義「俺は…………、多分、生まれた時から。」
小「本当に役に立たないな。」
実「いや、冨岡お前、最初俺のこと覚えてなかったろォ。」
義「……………………?」
天「埒が明かないな。」
杏「そうか…。桜は生まれ変わりではない。例外なんだ、仕方のない事だ。これから思い出してくれれば…いや、思い出してくれなくとも一緒に歩んでいけるのであればそれで良いのかもしれない。」
そう言って杏寿郎が笑うと皆複雑そうな顔をした。
行「……ちなみに私も生まれた時から覚えていた。」
忘れられていた行冥が泣きながらそう言うと皆ビクッと肩を跳ねさせた。