第64章 消えない不安と拒絶
―――
生徒「煉獄先生、最近パワーアップしてない?」
生徒「更に声大きくなったよね。」
天(……本当だよ。)
駒校高等部の美術室で油絵を描きながら宇髄天元はチューイングガムを噛んで膨らませていた。
彼もまた記憶を持った所謂生まれ変わりで、母校であり お館様が理事長を務めるこの高校に自然と引き寄せられるように就職したのだ。
天(うるさくて仕方ねぇ。集中乱されて作業に差し支えるわ。大体普段から、)
杏「宇髄!!!」
足音が近付いてきているのは分かっていたが、そう大きな声で名を呼ばれるとパチンと弾けたガムと同時に何かが切れる。
天「お前さぁ、耳どうなってんの!壊れてんじゃねーの!!」
杏「心配してくれて嬉しいが俺は健康体だ!!今度 健康診断の結果を持ってこよう!!!」
天「そういうんじゃねーんだわ……。」
杏「そうか!!それで話があるのだが今時間は空いているだろうか!!君に話したいんだ!!!」
天元はなんとなくその強引な相談の仕方に既視感を覚えて少し動きを止めた。
天「もしかして桜に会ったりした?」
その言葉に杏寿郎はパッと明るい表情を作る。