第12章 それぞれの想い
槇「…お前、これからどう過ごす気だ?そもそも何故この家に住むことに決めたんだ。」
「あ、全然お話してませんでしたね!昨夜のようにお酒なしでも するっと飲み込めるといいのですが。簡潔に話しますね!」
「鬼殺隊士の死を減らすために治療のお仕事を任され、未来から来ました。ここの時代に来たとき、偶然煉獄家のお庭に立っていて、親切な千寿郎くんにお世話になった次第です。」
さらっと言ってから悪戯っぽい笑みを浮かべて味噌汁をすする桜。
それを見た槇寿郎はぐっと悔しそうな顔をした。
槇「もう動揺などしてやらん。」
そして、そのままさらに眉を顰めるとお膳に視線を落とす。
槇「お前…これから鬼殺隊に関わるのか。」
ぼそりと言う声は不機嫌な色をしていた。
「はい。その為に来ましたので。」
その声に気が付きながらも桜は静かに答えた。
(槇寿郎さん、昔は鍛えてたって言った…。それに千寿郎くんも煉獄家は代々炎柱を務めてたって…。多分槇寿郎さんも昔は鬼殺隊に身をおいていたんだ。)
この話をした時の杏寿郎と、今の槇寿郎が重なる。
(やっぱり優しい人達…。)
槇「治療なんぞ一人増えたところでそんな変わらんだろう。お前は鈍くさそうだし。」
「あ、ひどい!確かに鈍くさいのは否定できないですが!」
桜は少し眉を寄せるが、口元が緩んでいたため全く迫力がなかった。
それから少し考えるように視線を落とし、桜はまた槇寿郎を真っ直ぐに見る。
「じゃあ…槇寿郎さん、今具合の悪いところや怪我をしているところはありませんか?」
槇寿郎はその言葉に首を傾げ、
槇「……最近腹に水がたまっているのか水音がする。あと…いや……、」
と言い淀んだ。