第64章 消えない不安と拒絶
「悩み……が、あるはあるんだけど、…皆に隠したくて話さないんじゃなくて…恥ずかしくて出来なくて……、」
レ「分かった、彼氏の話だ。」
したり顔でそう言ったレイラに他の3人は眉を寄せて『桜ちゃんに彼氏はいない。』『早苗先輩がいるからそもそも近付ける男がいる訳ない。』『話を遮らないで。』と文句を言った。
しかし―――、
「か、彼氏……じゃない人に、キスをされたの…。」
真っ赤になって目を固く瞑りながら桜がそう思い切ったように言うと レイラ以外の3人は硬直してしまった。
レ「へぇ!知り合い?それとも痴漢?」
「知ってる人だよ!ちゃんとデートもしたし、しっかりしてる人。痴漢なんかじゃないよ。」
レ「デート?桜ちゃんが?どうやって知り合ったの?」
残念な事にここに居るメンバーはレイラ以外ほとんど男に免疫が無く、知識も乏しい。
自然と3人は黙り込んでしまった。
「えっと……私は覚えてないんだけど向こうは前から私を知っていたみたいで道端で声を…。でも高校の先生だし、本当にきちんとしてるの。」
レ「道端?うーん…先生って何歳?」
「……26歳…。」
蓮「6……、」
レ「いいね、大人だ。」
菫「そう?ちょっと離れすぎてないかな。大丈夫…?」
レ「離れてたらまずいの?」
紅「……その、色々こなれていそうというか…、真面目な人なら離れてても別に良いのだろうけど……。」
「で、デートも初めてって言ってて……、」
桜が気に掛かっていた事を口にすると皆一度口を閉じる。