第64章 消えない不安と拒絶
「それでね、お父さんお母さんと一緒に探したら煉獄様についてご先祖様が書いた物を見つけたの。それから……杏寿郎さんに似た風貌の方の写真も出てきた。」
早「じゃあ煉獄さんが言った話本当じゃん…。すごい繋がりだね……。いつ会ったのかと 何で成人式の日にいきなり接触してきたのかは謎だけど…。あー…桜が避けちゃってたのかな……?」
(確かに……杏寿郎さんなら私が怖がってたら気遣って話し掛けてこなさそう。あれ?でも成人式の日…それにしては勢いが…、)
早「それで、家族の人も会いたがってたと……。まあ…ぎりぎり理解できなくはないかな……?普通逆だけどね。」
「逆?」
早「普通は一ノ瀬家の人が煉獄家の人を招きたがるものじゃない?恩人なんだからさ。」
「それが……会いたかった理由はお家に繋がりがあるからじゃなくて、杏寿郎さんだけじゃなくご家族も私と面識があるからだったみたいなの。しんじゅ…、お義父さまは私が辛口の日本酒好きなの知ってたんだよ。」
早「お義父さま?桜、物凄い勢いで外堀埋められてるね。桜の顔から辛口の日本酒って発想は普通出てこないから……本当なんだろうね。記憶かあ……。まだ安定してないのかな……。」
早苗はそう言うと桜の頭を心配そうに撫でる。
桜は杏寿郎とはまた違った柔らかく優しい手に心地よさそうな表情を浮かべた。
「…………でも、私いま20歳だからお酒って最近の話だよね。」
早「…そうだね。私と暮らしてる時期って事になる…。桜が私のいない所でお酒飲んだなんて記憶ないよ。」
大きな謎が残ると桜は不安そうに眉尻を下げ、早苗は眉を寄せた。
早「悪い人には見えなかったけど……、でも、様子は見なよ。嘘が上手な人間もいるんだから。」
「…………………………うん……。」
桜は再び唇を指で触る。