第63章 久しぶりで初めてのデート
(意外とお茶目な方だな…かわいい……。)
瑠火にふわふわとした笑みを返していると杏寿郎に手を握られ、桜は驚いている間に玄関まで連れてこられた。
杏「行くぞ。」
杏寿郎はさっと先に靴を履くと広い玄関に下り、白いパンプスを中央に居る桜の前にスッと置く。
杏「………小さいな。」
(気遣いが自然で余裕があるというか…大人っぽい……。)
桜は礼を言うと赤い顔を隠すように俯きながら靴を履いた。
杏「ではまた来ます!!」
「ご馳走さまでした!とっても美味しかったですし楽しかったです。今度 絶対に水族館へ皆一緒に行きましょう。ありがとうございました!」
そう言って桜が深々と頭を下げると煉獄家の皆はそれぞれ笑みを浮かべた。
杏「する時は一人で出来るのだがな。」
杏寿郎は運転席に乗り込むとシートベルトをきちんとしている桜を見て不思議そうに首を傾げた。
それを聞いた桜は眉尻を下げる。
「あの、本当にできない訳じゃないんです。焦ったから失敗しちゃうだけで…。」
杏「分かっているぞ。愛らしくて少しからかってしまった。すまない。」
「…………………………。」
桜は目を細めて微笑み掛けられると何も言えなくなり只々赤くなって固まってしまった。
それを見た杏寿郎は車を出しながら笑う。