第63章 久しぶりで初めてのデート
瑠「そんな事をしていてはいつまで経っても桜さんをお嫁に迎えられませんよ。」
(お、お嫁…………、)
杏「それは困ります。桜、二人で行こう。千寿郎、またの機会に連れて行くので許してくれ。」
千「僕はお2人で楽しんでくれればそれで良いです!!」
その頑なな反応に杏寿郎と桜が捨てられた子犬のような寂しそうな表情を浮かべる。
すると再びツボに入ったのか瑠火が口を押さえながら台所に隠れてしまった。
槇寿郎はそんな皆を見て首を傾げる。
槇「今度 家族皆で行けば良いだろう。」
杏「それは良いですね!桜のご両親も呼ぶと良い!」
「は、はい!母がとっても喜びそうです!!父は……、」
そこまで言って桜は早苗が言った言葉を思い出す。
(杏寿郎さんが相手でもお父さんは死にそうになっちゃうのかな…お付き合いはしていないけれど…。)
杏「勇之さんは水族館が好きではないのか?」
杏寿郎はそう言いながら立ち上がり、ハンガーに掛けていたジャケットを手に取る。
それを見て桜も慌てて立ち上がった。
「いえ……そういう訳ではありませんが、その…、死んじゃうかもしれないらしいです。」
千「えっ」
杏「何かのアレルギーだろうか。」
「父自身が言っていた訳ではないので実際のところはよく分からないのですがそういった類のものではなくて……でも私、皆で行けるように頑張ってみます!」
桜が拳を握ると男3人は笑みを浮かべ、瑠火はヒョコッと台所から顔を出して親指を立てた。