第63章 久しぶりで初めてのデート
「…あ…………あの…、普通はどういった場所へ行くのでしょうか……?」
杏「朝も言ったが俺も初めてなのでよく知らないんだ!すまない、今調べるので待っていてくれ!!」
「はい!!」
桜の嬉しそうに緩む表情を見て槇寿郎は腕を組む。
槇(これはどう見ても惚れているだろう。そういえば前の時もそうだった。随分と早い段階で杏寿郎の話題になると頬を染めていたな。)
槇「お前は変わらないな。相変わらず出会ってすぐ杏寿郎に、っ」
「……………………?」
その先を言う前に慌てた千寿郎が槇寿郎の口を塞いだ。
杏「夜景…サシ飲み……これは以ての外だな。あとは映画に……、む、水族館はどうだ?」
杏寿郎がそう問うと桜の目がきらきらと輝く。
それを見て杏寿郎も眩い笑顔を浮かべた。
杏「うむ!決まりだな!!ここから一番近いのは品川駅前の所のようだ!30分もかからないな!千寿郎も行くか!!」
笑顔で唐突に投げ掛けられたその問いに千寿郎はぎょっとした表情を浮かべた後、急いで首を横に振った。
千「で、デートですよね?普通弟は連れて行かないです。」
「……そうなの?」
桜は少し寂しそうな顔をしていた。
そこへ片付けを終えた瑠火が戻ってくる。
そして拳を作ると杏寿郎の頭にこつんと軽く当てた。