第63章 久しぶりで初めてのデート
「千寿郎くんはね、とーっても可愛いなって思います。大好きだなーって感じるよ。」
千寿郎はパッと顔を輝かせたが、その反応に杏寿郎は固まった。
桜が呆気無く昔のような接し方をしたからだ。
杏「……まさか、千寿郎を選ぶかもしれないと言っていたが…本当だったのか。千寿郎は……、」
酷く狼狽える兄に千寿郎は激しく首を横に振る。
千「ち、違います!あの時、姉上は明らかに僕の冗談に乗っていただけでした!!」
「………………姉上……?」
桜の不思議そうな声に千寿郎の肩が大きく跳ねた。
杏寿郎は千寿郎が言い訳できないでいる様子を確認すると目の前のスイートポテトに視線を落として手を合わせた。
杏「とても美味そうだ!!早速頂こう!頂きます!!」
「あ、どうぞ…!!」
流されやすい性格の桜はすぐに流れた話題を忘れ、皆の反応をドキドキしながら盗み見た。
頬張った煉獄家の皆はそのしっとりさ具合いにそれぞれ喜んだ表情を浮かべる。
(よ、よかった…!並んだかいがあっ、)
杏「わっしょい!!!」
杏寿郎は眩い笑顔で千寿郎が言った通り『わっしょい』を始めた。
その嬉しそうな表情を見て桜は笑う。