第63章 久しぶりで初めてのデート
瑠「杏寿郎、家族の人数を教えて差し上げなかったのですか?」
「あ、違うんです!多い方がいいと思って…、」
紙袋の中には10個入りの箱は3つ重なっており、ただ『多い方が良い』と思ったにしては多すぎる量のスイートポテトが入っていたのだ。
それを見て瑠火は再び くすっと笑う。
瑠「桜さんは杏寿郎の事をよく知っておいでですね。杏寿郎、ご厚意に甘え沢山お食べなさい。あなたの分は26個ありますよ。」
千「え!?」
それを聞いた杏寿郎が一番驚いていた。
杏「俺が多く食べる事を教えたのは今日の昼です。」
槇&千「「…………………………。」」
「私……、無意識に頼んでて…、もしかして心の底では覚えてたのかな……。ユキ様も靄が掛かった先に魂の色が見えると言ってくれたんです。」
槇「癒猫様か。ですか。」
「はい!あ、あと敬語は使わなくて良いです。なんだか……むずむずします。」
槇「……そうか。」
千「僕の事はどう思いますか…?何か、感じますか……?」
槇寿郎の嬉しそうな顔を見た千寿郎が慌ててそう尋ねる。
それを見て今度はお茶を並べていた瑠火は少し眉を寄せた。
瑠「千寿郎、あまり困らせてしまう事は言ってはなりませんよ。」
「瑠火さん、ありがとうございます。でも…、」
瑠「お義母さんと呼んでください。」
「えっ……は、はい。お義母…さま。」
槇「る、瑠火…、それもなかなか、」
瑠「何か問題がありますか。」
そのやり取りに桜は思わず笑みを漏らす。
そして改めて千寿郎に向き直ると、目を細めて愛おしそうに見つめながら笑った。