第63章 久しぶりで初めてのデート
そう言われると桜は急いで きゅっと口を結ぶ。
その時―――、
―――ピンポーン
来客を報せるチャイムが鳴った。
それと同時に桜の脈も速くなる。
時計は確かに9時45分を示していたが、電話で着いたと告げられると思っていたのだ。
深呼吸をしている桜の代わりに早苗がオートロックのモニターを覗く。
早「あれ……これ誰だろう?待って、桜。行かないで。立道くんじゃないよ。」
「…え…………?立道くんとはデートしないよ。お付き合いも断ったし。」
早「え!?じゃあデートの相手ってこの人!?……大人じゃん!大丈夫!?…すみません、上がってきて下さーい!!」
早苗はそう言って1階のロックを解除すると急いで玄関を出て下を見る。
「さなちゃん……?」
早「いや、さすがにこのまま送り出せない。得体が知れなさ過ぎる。しかも何歳よ…。ほらあれ、見たことない車停まってるけどあの人のだったらどうするの?2人で乗る気?」
そう言いながら早苗は桜の背を押して再び玄関に入った。