第63章 久しぶりで初めてのデート
「ありがとう。千寿郎くん。」
早「せん……?桜、大丈夫?今日のデート辛かったら早めにキャンセルしな。」
その言葉に桜の目がパチッと開く。
「ふわっ!さなちゃん、ごめん…アラームの音で起こしちゃった……?」
早「………………いや、大丈夫。」
早苗は桜の記憶が混乱しているような言動から底知れぬ不安を抱きつつ、顔色が普通であることを確認すると飲み水を取りに行った。
その後ろ姿を見て桜は眉尻を下げる。
(さなちゃん何かおかしかったな。どう見ても私が起こしちゃったみたいだし……帰りにお詫びも兼ねてお土産買おう…。)
それから2人はいつも通り和食のきちんとした朝ごはんを作って食べ、洗濯物を干してから桜の準備に取り掛かった。
「ね、ねえ…、お化粧はいつも通りでいいよ……。」
早「いつも通りって日焼け止めとチークにパウダーだけでしょ。それ化粧って言わないから。」
「一応言うとは思うけどな…。」
桜は少しムッとした声を出したが『大人っぽくなりたいんじゃないの?』と言われると黙って早苗にされるがままになった。