第63章 久しぶりで初めてのデート
早「顔が赤いぞ、桜ちゃん。」
「き、聞いてたの!?」
早「まさかー。聞こえそうだったら自ら散歩に出てるって。」
「そっか…そうだよね、さなちゃんは。疑ってごめんね。」
桜がすぐ謝ると早苗は桜の頭をわしわしと撫でて『許す!』と笑った。
その日の夜、桜は悶々としながら2時間も入浴してしまい、逆上せて早苗に叱られ、水をたくさん飲まされてからベッドに運ばれた。
(こんなにダメダメになるとは…。待ち合わせの時間結構きっちりしてたな。どこに行くんだろう。…水族館とかかな。大人…社会人の人ってどこに行くんだろう。少し……ほんの少し、怖いかも……。)
桜は未知の世界への不安を抱きながらも瞼を閉じた。
―――ピピピッ ピピピッ
聞き覚えのあるアラーム音が響く。
しかしぼんやりとした桜の頭は『その音は鳴るはずがない』と言っていた。
―――ピピピッ ピピピッ
「うーー……。なにーー…?」
早「桜…?どうしたの?お風呂に浸かりすぎたからかな…体調崩した……?」
心配して部屋へ入ってきた早苗が代わりにアラームの音を消すと桜は嬉しそうに微笑んだ。