第63章 久しぶりで初めてのデート
杏『では君の家に…そうだな、10時より15分前に迎えに行こう。外で待たずきちんと家で待っているんだぞ。』
「はい!」
杏『うむ。素直で愛いな。俺が年上だからだろうか。』
「え……あの、」
桜は突然甘くなった声色にすぐ対応出来なかった。
杏寿郎は赤くなった桜が見えているかのように笑う。
杏『俺が同い年なら『電車で行くから迎えに来なくて大丈夫』と意地を張らせてしまいそうだと思ったんだ。やはり年上は良いな。』
「は、い……。」
桜はどうしてそんな例えをしたのかピンとこなかった為 一人で首を傾げた。
杏寿郎はそれも見えているかの様に目を細める。
杏『…今はまだ良い。四十年も君がいない世で耐えたんだ。君が側にいてくれれば何年でも待てる。ゆっくり思い出してくれ。』
「え……?それって、」
杏『詳しくは明日話そう!それでは失礼する!!』
「え!あっ…………切れちゃった…。」
―――カラカラッ
桜が戸を開けバルコニーから戻ると早苗がリビングのソファに座って楽しそうな笑みを浮かべていた。