第63章 久しぶりで初めてのデート
桜はすぐにふわふわとした笑みを浮かべると早苗を抱き締め返した。
その頃―――、
杏(前日だというのに待ってみたら全く連絡が来なかったな。桜はドライなのだろうか。それともまだ気持ちが追いついていないのか…。)
杏寿郎は腕を組んで鳴らないスマホを睨んでいた。
しかしすぐに手に取るとタタタッと文字を入力していく。
―――ピロリロリンッ
杏寿郎のメッセージの受信を知らせる音に桜はビクッと肩を跳ねさせた。
その反応から早苗はそれがカスタマイズされたものだと悟る。
早「覗かないからすぐ返事しちゃいなさいー。明日なんだから。」
「な、なんで…分かって…、」
早「お見通しって言ったでしょー。」
桜は真っ赤になりながら早苗が自室へ入って行ったのを確認すると慌ててスマホを確認する。
(えっと……『電話をして、も、)
―――ガターンッ
「痛っ!!」
早「桜!?」
「だ、だだ大丈夫!!ちょっとお外で電話してくる…っ」
桜はそう言うと机を元の位置に戻してからバルコニーへ向かった。