第63章 久しぶりで初めてのデート
早「桜にしては珍しい目立つ色のワンピースにしたね。」
「…………うん。なんだか、この色がいいと思って……。」
そう言いながら桜は頬を染める。
それを見て早苗は頬を緩ませた。
早(上手くいくといいね、桜。)
―――
桜は帰ると早苗が呆れて止めるまで何度もワンピースを着たり脱いだりしていた。
「そ、そわそわする…どうしよう、転んだら…!」
早「そこが心配なんだ。普通は変なことして嫌われたらどうしよーとか思うはずなんだけどね。」
早苗がそう笑いながら桜を抱き寄せると桜は不思議そうな顔で瞬きする。
「…………たしかに…そうだよね…。」
(杏寿郎さんが…私を嫌いに……、)
そう想像しただけで桜の胸はズキッと痛んでしまう。
その様子を見た早苗は眉尻を下げて微笑みながら謝るように頭を優しく撫でた。
早「一般的な杞憂の話。桜は大丈夫。こんなに可愛いんだから。振ったら私が投げ飛ばしてやる。」
「ふふ、それはだめだよー。」