第63章 久しぶりで初めてのデート
(…魂に刻まれた……?靄がかかってるって…やっぱり私何かを忘れてるんだ…。早く思い出したい……!)
「ゆ、ユキ様は杏寿郎さんの事も知っているんですよね…?」
ユ『ああ、知っているよ。とてもよく知っている。桜の次に気に掛けていた子だ。とても優しい、桜を大事に想っていた。痛々しい程に。』
「…………………痛々しい…ほどに……?」
(…やっぱり杏寿郎さんは前々から私の事を慕ってくれていたんだ……。)
「杏寿郎さんは……幽霊じゃないんですね…?」
それを聞くとユキは面白そうに尻尾をゆらゆらと揺らす。
ユ『まだきちんと会っていないから何とも言えないけれどきっと違うだろうね。』
「え……、まだ…会ってない……?それって、」
ユ『すまない、参拝しに来た子がいる。次は杏寿郎を連れておいで。』
「あっ」
ユキは戸惑う桜を置いて姿を消してしまった。
――――――
「さなちゃーん!さなちゃん!ここだよー!!」
デパートで待ち合わせ中、見当たらない桜に電話を掛けると人だかりの中から声がした。
早「……あの中か…。」
早苗は桜に声を掛けに来ていた男達を追っ払うと溜息をつく。