第63章 久しぶりで初めてのデート
勇「…………あんまり早いのは駄目だぞ。」
由「立道くんとは随分ちがう反応ね。こっちが初恋なんじゃないかしら…。」
(初恋……?確かにこんな気持ち初めて……。胸が苦しい。)
「あ、あのね…、ここに来たのには2つ理由があって、1つは癒猫様の所に行くことなんだけど、もう1つは2人の意見を聞いておきたいことがあって…、」
言い淀む桜に首を傾げ、2人は続きを待つ。
桜は拳を握ると頬を染めながら上目遣いに2人を見た。
「きょ、杏寿郎さんに…明日デートを申し込まれて……、その、ご実家にもお呼ばれされたの。」
勇「じッ………………………、」
由「まあまあまあ!!お母さん杏寿郎さんなら大賛成よ!絶対に良い旦那さまになるわ!!」
「ま、まって!まだお付き合いはしてないの!デートも初めて…。」
由「え……初めてのデートでご実家に?」
「うん。どうやらご家族も私を知ってるみたいなの。杏寿郎さんみたいに…。」
それを聞くと由梨は『んーー…。』と少し考えるように斜め上を見た。
しかしすぐに視線を戻すと手を合わせて微笑む。
由「うん!行ってらっしゃいな!ご実家の電話番号教えていただいたでしょう?もう何度かお話ししたのだけれど、とても良い奥様だったわ。無理強いするような方でも無さそうだし、桜は桜の意志を持って行ってらっしゃい。」
そう言われると桜はパッと顔を輝かせて勢い良く頷く。
一方、勇之はずっと固まっていた。