第63章 久しぶりで初めてのデート
「よくこうして歩いたよね。いつも助けてくれて…。」
早「え…………?」
早苗と桜は確かに昔から知り合っていたが実家は遠かった。
体を張って守るようになったのは桜が大学へ入ってからだ。
早苗は記憶の安定しない桜をチラッと横目で心配そうに盗み見たが あまりにも嬉しそうなので『そうね。』とだけ返した。
―――
「さなちゃん!さなちゃん!!起きて!お洋服見に行こう!!」
その楽しそうな声に早苗は目を瞑りながら眉を顰める。
早苗は朝に弱い訳ではなかった。
それ故に今の状況が不可解だったのだ。
早「………………今何時?」
「7時!早く行こう!」
早「どこも開いとらんわ!!」
「え"っ」
そう言って固まる桜は既に着替えを済ませ薄く化粧もしている。
極力外出を避けていた桜はネットで服を買うことが多く常識も欠けていたのだ。