第62章 エンカウント
「な、何で癒猫様を…私が勝手につけた名前を知っているのですか…っ?」
杏「ああ、友人なんだ。まだこの体では会っていないが…。」
(ユキ様に会っていたの…?それにこの体ではって……?まさか本当に杏寿郎さんは大正時代の幽霊で この時代の人に取り憑いちゃったとかなんじゃ…、)
「し、失礼を承知でお伺いします。杏寿郎さんは……幽霊なのでしょうか…?」
優「一ノ瀬さん!?」
「あの、えっと……私の家から杏寿郎さんにそっくりな方のとても古い写真が見つかったから…、」
杏寿郎は幽霊かと訊かれると流石におかしくて笑い出す。
「わ、笑わないで下さい……!」
杏「一度 煉獄家に来てみると良い!!皆君を待っている!!!」
「……………は、はい…。」
(へんだ……楽しみに感じるのは何でなんだろう…。)
優(そんな…実家に……?いや、バイトさえ一緒に出来れば過ごす時間も増える…。俺は俺らしく少しずつ距離を縮めよう。)
優介はそう思うと桜を止めたい気持ちをグッと堪えた。
その様子を杏寿郎はミラー越しに見つめる。
杏(邪魔はしない、か。立派だが俺はその内に桜を攫っていくぞ。君が想い続けていた年数を下に見ることはしないが、俺だって桜を失ってからの43年間、彼女だけを想ってきたのだからな。)
結局桜は塾講師のアルバイトを前向きに検討する事となった。