第62章 エンカウント
「バイト……確かにやってみたい、かも。今まで怖くて出来なかったから……。」
車の中からそんな会話をしている2人を見つめる男が居た。
その日早く仕事を切り上げられた杏寿郎は桜に会いに大学まで来ていたのだ。
しかし一足遅かった。
杏(むぅ。これではストーカーのようになってしまうな。趣味が良いとは言えない。)
そう思うと杏寿郎はパーキングエリアに車を停めて2人を追いかけた。
杏「すまない!桜に会いに来て二人を見つけたのだがストーカーのようになってしまいそうだったので出て来てしまった!!」
「杏寿郎さん!」
優「…………………………。」
優介は馬鹿正直にそう伝えられると2人の時間を邪魔されたやるせなさを持て余し眉を寄せた。
そんな優介の心境を分かっているのかいないのか、杏寿郎は再び送ると言い張り 2人を車の中へ押し込んだ。
杏「塾講師か……俺も学校で『何事も経験は糧になる』と教えているが、君はもう男が全く怖くなくなったのか。…ユキ、いや、癒猫様…白い猫神様はどうしている。反対しないのか。」
杏寿郎は男からの暴行を心配してそう尋ねた。
ユキもとい癒猫様は自身が幼い時に突如消えた筈であった為 桜は目を見開いて身を乗り出した。