第62章 エンカウント
杏(後で保存しよう。)
そう思いながら急いでメッセージを開く。
そこには家まで送ってくれた礼と "煉獄様" についての質問、それから1枚の写真を撮った画像が送られていた。
杏「『この写真についてどう思いますか。』……か。懐かしいと答えたらどのような反応をするのだろうな。」
杏寿郎は大正時代で桜を見送ってから一ノ瀬家に写真を2枚だけ持っていき、後世に残してもらうように頼んでいたのだ。
そしてその残りは実家の煉獄家にある筈である。
しかし今日記憶を取り戻したばかりの杏寿郎はまだそれを見付けていない。
杏(休みに取りに戻ろう。父上や千寿郎も記憶を取り戻すかもしれない。)
そう思いながら杏寿郎は返事を打っていく。
「『気にするな。送りたかったから送っただけだ。様付けされるのはこそばゆいが、"煉獄様" とは俺の先祖で間違いない。その写真については知っているが、それは君が全てをきちんと知ってから教えよう。』……。全てを…知ってから…?やっぱり私が忘れた何かを知っているんだ。」
それから桜は杏寿郎とメッセージのやり取りを重ねた。
女「桜、最近スマホ気にしてる事多いね。好きな男の子と進展でもあったの?」
同居中の一ノ瀬 早苗がそう言いながら微笑み近付いてくると桜は顔を赤らめながらスマホを隠した。