第62章 エンカウント
勇『もしもし?終わったのか?』
「あっ……う、うん。あのね、今……高校の先生に車で送ってもらってて…、」
勇『ん?桜がお世話になった先生か?』
「ううん、私が在校していた時にはいなかった先生で……でも、信頼できるし立道くんも一緒だから心配しないで。先に私を送るって言ってくれてるし…。」
勇『桜………、何でそんな事に…!!本当に高校の教師なのか?もし嘘をついていたら…、』
杏「桜、スピーカーにしてくれ。」
「は、はい!お父さん、スピーカーにするね。」
杏寿郎はちゃっかり助手席に乗せた桜にスマホを差し出されると前を見て運転をしながら口を開いた。
杏「初めまして、駒場学院中高一貫校で教師をしている煉獄 杏寿郎と申します。一ノ瀬さんの家とは勇重さん、頼勇さんの代から縁がある血筋の筈です。」
「………え?」
勇『な……、』
家系図で二人の名を知っていた桜と勇之は思わず言葉を失う。
静かになってしまった勇之に杏寿郎は少し口角を上げた。
杏「やはり親子だ。桜さんと似ていますね。信用が足らなければ煉獄家に確認の電話を掛けても良いです。あと十五分ほどで着きますが心配でしたらこちらの電話も繋げておいて下さい。実家の電話番号は…、」
杏寿郎は桜や勇之が呆気に取られている間に話をまとめてしまった。