第62章 エンカウント
杏「よもや。同窓会でもしていたのか?随分と大勢に見られてしまっていたようだ。」
優「一ノ瀬さん!!」
「立道くん…だ、大丈夫だから……。」
その名を聞いた杏寿郎の顔色が変わる。
一方、杏寿郎が周りを見渡した際に何人かの同級生がハッとした顔になった。
男「あ、やっぱり!あれ俺等の母校で働いてる先生だよ!俺の弟あの先生に教えてもらってる!!」
女「私も聞いたことある!地毛なのにすごい派手な髪色の先生がいるって!!」
「え……?煉獄さんって、」
杏「杏寿郎だ。同じ姓で呼ばないでくれ。」
優介の登場で気が立ってしまっていた杏寿郎の声は低くなってしまっていた。
しかし桜は少し肩を揺らしただけですぐに頷く。
怒られるのが当たり前であるように感じたのだ。
杏「桜、立道という男は君が慕っていたという物静かで読書家の男だな。」
「ふえっ」
桜は人前でそのような事を言われると恥から眉尻を下げて赤くなる。
杏寿郎は目を細めるとそんな桜の頬を指の背で撫でた。
するとそれが促しだと直感した桜は自然と口を開く。