第61章 戻ってきた世界
女「まってよ!どういう事!?ずっと立道に片思いしてたじゃん!心に決めたってなに!!」
女「お母さんまだ早いと思います!!!」
「あはは、お母さんって…みっちゃんは大事な友達だよー。」
そう言いながら呑気な顔で微笑むと周りの友達は深く溜息をついた。
み「この顔…絶対騙されてる。」
紀「誰なの?どこの、誰。大体男と話せなかったんだからおかしいだろ。まさかメッセージのやり取りだけで知り合ったの?怪しいって。そいつに会わせて。」
「のんちゃん、怖かった時の口調に戻ってるよ。それに本当に大丈夫。一緒に住んでたこともある気がするの。………どこの誰かは…全然分からないんだけど…。」
桜がそう言って困った様に微笑むと今度は皆揃って青ざめた。
女「や……やばいって…それ…まさか、あの…事件の犯に、」
み「しっ!!ねぇ、ついこの間まであった危機感はどこいったの…?ただでさえ桜の周りにはやばい男が寄って来やすいのに……。」
女「そうだ…!桜、振り袖の色…赤って言ってなかった………?」
「うん、赤だよ。どうして?」
女「ぎゃー!こわ!!今日の成人式に赤い振り袖の新成人を片っ端から探す男が出たんだよ。来なくてよかったかもしれないね…これ以上変なやつが増えたら…、」
女友達はその後も桜を心配して尋問を続けたが 何の成果も得られなかった。
一方、そんな皆の心配を余所に 桜は左手の薬指が寂しく感じて会話に集中できずにいた。
(何か付けてたっけ…今度お母さんに聞いてみようかな……。)