第61章 戻ってきた世界
女「あはは、桜のその顔やっぱり好きだなー。黙ってりゃただの美人にもなっちゃうし、1年生にしてミスキャンパスになるだけある。可愛らしい、合格。」
女「普通新入生ならないでしょ、あれ。」
「あれ立候補制じゃないんだね、気が付いたら取材される事になっててすっごいびっくりしちゃった。辞退もできないって言われて…。誰が推薦したんだろう。」
女「うわ………、あのお嬢様女子大もなかなか強引なことやるね…。辞退できない筈ないよ。桜また騙されてる。」
「え"っ」
そうして女友達に囲まれて頭を撫でられたり話したりしながら暫くアルコール、ノンアルコールと順序良く飲んでいた時、遠慮がちにトントンと優しく肩を叩かれた。
首を傾げながら振り返ると優介が酷く緊張した面持ちで立っていた。
「…あ…………、」
桜の長くもどかしい恋をよく知っていた女友達は慌てて桜の背中を押して送り出す。
(…………なんだろう、この気持ち…。)
優介は壁際まで歩くと眉尻を下げる桜を振り返る。
その赤く緊張した顔を見て桜はこれから何と言われるのかを察した。
そしてそれは盗み見ていた周りの人間も同じであった。