第61章 戻ってきた世界
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(ここ、だよね…怖くはないけどちょっと緊張するなあ…久しぶりだもの……。)
―――カランカラン…
「お、お邪魔します…。お久しぶりですー…。」
桜は遠慮がちな声を出し、眉尻を下げた笑みを浮かべながら店のドアを押した。
すると桜に気が付いた入り口近くの集団が大きな声を上げ あっという間に注目の的になってしまった。
そしてかつての男友達やずっと仲良くしてくれていた女友達が野次馬も引き連れて走り寄ってくる。
沙「大丈夫!?川で溺れてる子を助けて桜まで溺れたって…!!」
「うん!元気になって私にも挨拶しに来てくれたよ。」
沙「いや、桜の事を心配してたの!その子も無事でよかったけど…!!」
男「うわーまじで一ノ瀬だ…。はい、これ持ってきたぞ!飲め飲め!」
「ふふ、ありがとう!!」
「「「……………………………………。」」」
桜の花咲く笑顔に皆目を丸くする。
沙「一体何が……、」
懐かしんだり体調を心配してくれる友人、かつて密かに想いを寄せていた男、更には酔わせようとする者まで寄ってきて桜の周りには人だかりが出来てしまった。