第60章 決戦の日
その言葉に桜の緊張を孕んだ表情は明るくなる。
(本当に!?私は初めてあなたを好きになれそう!!それにしても……杏寿郎さん、元々の生命力ありすぎじゃない…?大正の平均寿命っていくつ?)
―――二十歳まで生き延びている男ならそれから四十年、つまり六十歳くらいまで生きる計算だね。
「そう……よかった。……本当によかった。」
それから間もなく無惨は地に伏し、叫び声を上げながら体を崩壊させていった。
「もう、帰るんですか、私……。」
―――体を見てみたら?
そう言われていつの間にか人の姿に戻っていた自身の体を見下ろすと鬼舞辻と同じタイミングで体の欠片がいくつもの光となって空に舞っていた。
杏「桜ッ!!!待ってくれ!!!!」
杏寿郎は思わず刀を取り落とすと桜の元へ駆け寄る。
「杏寿郎さん、皆いるのに涙出ちゃってますよ。いいんですか?」
桜は泣きながら微笑んで杏寿郎の涙を拭った。