第60章 決戦の日
(こんなに弱っているのに全く反応できなかった…一般隊士さんより速くなったと思ってたのに……。)
杏「君は少し距離を置いておくと良い!!」
「はい!!!」
桜は自身の力不足を痛感しながら光の端まで飛び退くと戦い全体を眺める。
すると炭治郎が鬼舞辻と同化していた女の鬼を切り離して光の外に避難させた後、妙な動きをし始めた事に気が付いた。
(炭治郎くん…舞ってる……?)
苦しそうに続けざまに放つ技は舞のように繋がり、そして一番無惨を留めるのに適しているようだった。
(これが…バランサーの言ってた炭治郎くんの力……。)
―――随分と早く決着が着きそうだ。前回は繭から出た無惨にたくさんの隊士が食べられたからね。ああ、よかった。今はまだ一人も食べられていない。
(…………お釣りは?随分と早く決着がつきそうなんでしょう?このライト消してもいいの?)
―――そんな事をしたらここに居る弱い人間は食べられる。出来ないでしょう?
(分からないよ。弱い人達より関わりの強かった柱の皆の命が大事でヤケを起こすかも。)
その言葉に耳のすぐ横で聞こえていた声が止む。
そして今度は少し離れた所から話し掛けてきた。
―――君のことあんまり好きになれないな。いいよ、お釣りをあげよう。今日痣が出たばかりの君の人、この分だと六十までは生きるんじゃないかな。