第60章 決戦の日
(杏寿郎さん…。皆もあの後 無事だったんだ。蜜璃ちゃんと伊黒さんはどこに……、)
桜は斬り掛かる柱達を見つめながら喉をこくりと鳴らした。
丁度その頃、蜜璃と小芭内の元には姿無きユキと少年が現れていた。
ユ『二人共、どうか彼の話を聞いてくれ。』
ユキが善逸を治した事によって本来の筋書きよりも早く二人の元へ来る事が出来たその少年は、愈史郎という名の鬼殺隊に協力をしてくれている鬼だった。
愈「他の柱はもう鬼舞辻の元に辿り着いている。ちんたらしてるのはお前らだけだ。」
開口一番そう言われ、小芭内はピキッと青筋を浮かべる。
対して蜜璃は驚いたように目を見開いて身を乗り出した。
蜜「私達も行かなきゃ!場所は分かるの!?あ、でもあの鬼も倒さなきゃいけないし…、」
愈「いいから聞け。あの女は俺が相手をする。あいつを操って今から繭ごと鬼舞辻を地上へ押し出してやる。そこでお前らだ。場所が遠すぎる。何でこんな所にいる。」
小「上弦の肆がいたからだろう。甘露寺はよくやって、」
愈「質問をしたんじゃなくて嫌味を言っただけだ。とにかくお前らも含めここにいる隊士全員を地上へ出す。場所は決まっている。産屋敷邸のすぐ近くの空き地だ。地上に出たら早く駆けつけろ、いいな。」
蜜「分かったわ!!」
小「……………………。」
愈史郎は言うだけ言うと まだ余裕を欠いている鬼舞辻から干渉を受けていない鳴女を操り、見事に産屋敷邸の近く、陽のライトが囲む空き地へと無惨と柱達を押し上げた。