第60章 決戦の日
戻ってきた実弥と無一郎の腕を見て黒死牟は六つの目を細める。
黒「信じ難い事だったが…目の当たりにすれば疑いようが無い……。無一郎の腕を再生させたのもお前の仕業か……。」
「会話をするつもりはありません。」
桜はそう言うと再び距離を取った。
黒死牟は桜を追おうとしたがそれを行冥が止める。
それを皮切りに黒死牟は技を出し惜しみせずに繰り出し始め、行冥、実弥、無一郎もそれに応戦した。
戦いが激化するにつれ行冥の腕、実弥の頬に痣が発現した。
(…………………………。)
桜は動きが良くなった二人を見て顔を顰める。
(こんなに貢献して……二十五までに命を落とすんですか。悲鳴嶼さんにいたっては…もう、)
―――寿命の前借りと相応の力を得ているのでしょう?何が不満なの。
(お釣りは返ってこないの?力を使い切る前に鬼舞辻を倒せたのなら 二十五より先の命全てを失わなくても良いでしょう…?それはバランスが取れてない事なんじゃないの?バランサーさん。)
その問いに答えは返ってこなかった。
それどころか再び桜の体は唐突に別の場所へと移った。
玄「………………え?桜さん?」
炭「桜さん!?」
「……炭治郎くん!冨岡さ…なんで刀を熱して…?わ…っ!二人とも酷い傷…!!」
(さっき鴉が上弦の参を倒したって言ってた…!その傷だ……。)
そう思いながら桜は炭治郎達の元へ駆け寄る。
「私が言うことじゃないかも知れないけど…猗窩座を倒してくれてありがとうございます……。」
桜はそう言うと義勇に熱した刀を収めさせ、二人の酷い怪我を撫でて治していった。