第60章 決戦の日
「きっとわざとだよ。稀血で酔わせる気なんだ。血が効いたら私がすぐに治すよ。心配しないで。」
玄弥が少し体の力を抜いたのを確認すると桜は再び実弥の傷に目を遣る。
桜も余裕がある訳ではなかった。
(とても入れる隙がない。酔って隙が作れたとしても実弥さんが素直に治させてくれるだろうか。効いているのだから治すなって言われたら……、)
行「桜!!俺と時透で抑える!不死川を治してくれ!!!」
「はい!!!」
桜は弾かれたように走り出ると退った実弥に駆け寄る。
実弥は桜が側に来ると頭を撫でようとしたが すぐに手が血だらけであることに気が付くと手を引っ込めようとした。
「撫でていいよ。なぜか私に付いた血や汚れは消えるの。……酷い傷。」
桜はそう言うと実弥を軽く睨む。
実「効果はあったんだから良いだろォが。」
「よくないよ!!」
実「…………玄弥を治してくれてありがとうなァ。」
「…うん。」
会話が終わると共に治療も終わる。
実弥は軽くぽんぽんと桜の頭を撫でるとダッと黒死牟に向かって走っていった。