第60章 決戦の日
無「桜は巻き込まれる所まで来ちゃだめだよ!!」
「う、うん!!玄弥くん、私達も行こう!」
玄「はい…!あ、兄貴も怪我をしたらその力を使って下さい!!」
「任せて。誰も死なせないよ。」
二人は戦いの場から少しだけ離れた場所まで走り、柱から様子を窺う。
桜は鼻血を流しているもののまだ実弥が戦えそうである事を確認すると今度は玄弥に目を移した。
(玄弥くん、銃を持ってる。遠距離型なのね。さっき聞こえた銃声はこの子のだったんだ。)
そして再び実弥に目を遣った時、刀を使う鬼、黒死牟が月の呼吸を使った技を放つ。
黒「月の呼吸、陸ノ型――常世孤月・無間。」
「……っ!!実弥さん!!!」
隣を見れば行冥は防いでいたが無一郎も傷を負っている。
しかしそれは決して実弥のような深い傷ではなかった。
(……実弥さんだけがあんな深手を負うなんておかしい。まさか、上弦の壱に対しても傷を作りながら戦う気なの……?他の柱の人もいるんだから鬼を酔わせなくても力を合わせれば……、)
桜の隣で玄弥は目を見開いて拳を握っている。
桜はそんな玄弥に気が付くと体を擦り寄せて安心させるように熱い体温を分け与えた。