第60章 決戦の日
「……す、すごい。一体…、」
桜は玄弥の体を力を使わずに全て元通りにすると急いで無一郎に向かって走り出した。
「無一郎くん、待たせてごめんね…!動かないでっ、玄弥くん、お願い!!」
無一郎は自身の体を柱に刺し留めている刀を自ら抜こうとしていた。
付いてきてもらった玄弥に慌てて刀を抜いてもらうと 桜は無一郎の胸の刺し傷と失われた左手を撫でて再生させていく。
それを見て玄弥は目を見開きながらコテンと首を傾げた。
玄(俺の傷もこうしてくれた方が早かったんじゃ…?)
「大丈夫?あと他にされたことはある?痛いところは…?具合い悪くない?」
無「桜、大丈夫だから落ち着いて。」
無一郎は治った両手を使い、桜の両頬をもふっと包み込んだ。
そうされて桜はやっと落ち着きを取り戻す。
「…あ………ご、ごめんね。無一郎くんの血を見たら…少し嫌なことを思い出して動揺しちゃって…。」
桜は頬にある温かい無一郎の手に頬擦りをするとパッと切り替えて実弥と行冥達に目を向ける。
無一郎もすぐに立ち上がって駆けて行った。