第12章 それぞれの想い
「………ん…。」
(…あれ…アラームより早く起きちゃったな……。)
桜はまだ目を瞑りながら頭上へ手をやり時計を掴もうとした。
「んー…。」
なかなか取れなくて仕方なく目を開けると…、
桜は ぱちぱちと瞬きした。
和室にお布団。
右を見れば畳の上ですやすやと寝ている杏寿郎。
(…そっか……ここは煉獄家だ。私の唯一の拠り所の……。)
桜は、 "なるほど!" と一瞬思ったが、またバッと右を見る。
(何で杏寿郎さん畳で寝てるの…!?)
(というか私…昨日いつ寝たんだろう…?)
桜は酷く慌てたが、ぴたっと動きを止める。
(あれ?ユキの姿に戻らない…。そういえば昨日のお昼も私が自身の意思で……って気になるけど!けど今は…!)
桜はまた杏寿郎を見る。
寒そうなのに微笑んでいるとこが余計に可哀想に見えた。
(こんな寒い時期に何で畳で…せめて今からでもお布団で寝かせてあげなきゃ…!)