第60章 決戦の日
しのぶの聞いた事の無い冷たい声色に桜と杏寿郎、天元は口を閉じ 視線だけをしのぶの方へ向ける。
そんな三人を置いてしのぶは前へ出た。
そしてグッと自身の羽織りを掴む。
し「私の姉を殺したのはお前だな?この羽織りに見覚えはないか。」
(…………そういうこと…。)
しのぶの表情は桜達からは見えなかったがその怒気は溢れ出て伝わってきた。
すると天元は部屋を出ようとする。
天「ここで柱が三人も固まって、しかもその内の二人は手出し無用って言われてちゃ最悪の展開だぜ。おら、さっさと他行くぞ!」
「だ、だめ……。しのぶちゃん……、」
(ずっと具合い悪そうだった。治しちゃだめって言われてた。毒は…五回も分解された。それなのに戦おうとしてて、そしてこの鬼は女の子であるしのぶちゃんを食べたがってる。つまり…、)
桜は冷や汗を流し瞳を揺らしながらしのぶの側に寄るとその体を撫でようとした。
それをしのぶが躱す。
し「言いましたよね。止めてください。」
「あの継子の女の子は…蝶屋敷の皆はどうするの…?自分で仇を討ちたくても他に勝てる可能性がある以上、"それ" は最後に取っておくべきだよ。杏寿郎さん達を頼って、お願い。お願い…。」
それでもしのぶは眉を顰めたまま口を固く結んでいた。
童磨は胡座をかいて座り、興味深そうに二人を見ている。
天元は杏寿郎に捕まえられてまだ部屋に留まっていた。