第59章 決戦に向けて動き出す
「皆さん、休憩ですよー。」
癒猫様の姿が消えたと思っていたところに人の姿の桜と千寿郎が具の豊かな握り飯と水を持ってくる。
すると隊士達は木刀をその場に置いて駆け寄っていった。
桜は握り飯が入った皿を皆が取れる位置に置くと 隊士達に話し掛けられるより前に杏寿郎の側に寄る。
「皆はどうですか?私、自分のことで精一杯で…。」
杏「うむ!とても頑張っている!!まだ基礎体力が足らない者が多いが摂津は根性があり何に対しても諦めず取り組んでいる!その努力は必ず報われる!!豊田は体力に難があるが、それをきちんと受け止め努力出来る立派な男だ。稽古が終わる頃には化けるだろう!!楠本少年はやる気が無いように見えるが心の内は熱い少年だ!それに筋が良い。周りとの連携が上手く出来るようになれば大勢の命を救いつつ強大な鬼とも戦える可能性を秘めている!!高木は…、」
柱稽古を始めて三日目、蝶屋敷から攫ってきた隊士は三十名を超えていたが杏寿郎は全ての隊士について述べていった。
それは桜と二人でしていた会話であったが大きな声は良く通り、もちろん休憩中の隊士本人達にも届いた。
そしてそれは隊士達にとっては激励の言葉だった。
一日でも近くで見ていれば分かる 煉獄杏寿郎という嘘をつかない真っ直ぐな男から発せられる言葉は、やる気の炎を更に大きくさせてくれる何よりの燃料となった。
そして杏寿郎を慕う者も増えていった。