第59章 決戦に向けて動き出す
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「摂津さん!わあ、お久しぶりです!!」
摂「桜さん!れ、煉獄さん!!お久しぶりです!!」
蝶屋敷のベッドには以前、無一郎の任務に同行した際に出会った杏寿郎の熱烈なファンである摂津が寝ていた。
見れば足を骨折しているようだった。
桜は急いで駆け寄るとその足を撫でていく。
摂津は礼を言うと治った足で正座をし、ベッドの上で頭を下げた。
孝「改めまして、摂津 孝宏(たかひろ)と申します。失礼な事にあの日きちんと名乗っていなかった事を思い出しまして…毎夜後悔をしていました!」
杏「そうか!俺は煉獄 杏寿郎だ!!」
「一ノ瀬…あ、いえ、煉獄 桜です。」
孝「存じ上げております!!」
桜は杏寿郎を孝宏の元に残して他の隊士の治療をして回ろうとベッドを一歩離れる。
するとすぐに杏寿郎に肩を掴まれた。
杏「離れるな。」
「え、でも…同じ部屋にいますし……。」
杏「摂津、すまないが治療をしなければならないのでまた後でゆっくりと話そう。」
孝宏はそれに元気良く返事をする。
「さすがに杏寿郎さんが同じ部屋にいれば変なことをする隊士さんはいませんよ。」
杏「俺から離れるな。」
杏寿郎は同じ言葉を低い声で繰り返すと桜を黙らせた。